プロレスの萌えポイントを語る会

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WRESTLE-1と芦野ナショナリズム

WRESTLE-1武藤敬司を筆頭に全日本プロレスを退団した選手たちによって2013年9月8日に旗揚げされたプロレス団体。旗揚げ当初は興行の全対戦カードを当日発表にしたり、控え室での選手間のいざこざを会場内に映像で流したりとWWEインパクレスリングに代表されるようなアメリカンプロレスの要素を多く取り入れたエンターテイメント性にあふれる興行をファンに提供していた。
 
しかし、旗揚げ当初は絶好調だったWRESTLE-1だが、見慣れない興行スタイルに対して、観客の数はみるみるうちに減っていった。
月に一度のペースで開催している後楽園ホール大会は次第に空席が目立つようになり、2014年は季節に一度のペースで開催していた両国国技館での興行も2015年以降は開催されなくなった。
 
WRESTLE-1が抱えた問題は観客の数だけではなかった。観客の数が次第に減っていくとともに、旗揚げメンバーたちも続々と退団していったのだ。2016年7月には主要所属選手5人が同時退団するという事態もあった。
 
現在は映像の多用も対戦カードの当日発表もしていないわけだが、WRESTLE-1には悪いイメージを持っているプロレスファンがまだいることだろう。
 
しかしながら、WRESTLE-1には未来がある。なぜならば、WRESTLE-1には芦野祥太郎がいるからだ。

 

 
芦野祥太郎。174cm、85kg。1990年1月4日生まれのWRESTLE‐1所属のプロレスラー。
日本体育大学レスリング部出身で、日体大レスリング部の監督と馳浩の推薦により、2014年8月1日にWRESTLE-1に入門。約半年間の練習生期間を経て、2015年2月13日WRESTLE-1後楽園大会でデビューした。
デビュー戦を勝利で飾ったり、同年10月には先輩・河野真幸近藤修司村瀬広樹らと共闘して「TriggeR」(トリガー)を結成したり、2016年6月にはデビューからわずか1年4ヶ月で団体内最高峰のベルトであるWRESTLE-1チャンピオンシップに挑戦したり、とファンが思い浮かべる若手プロレスラーのイメージとはかけ離れた道を歩んできた。
2017年3月20日には当時の王者・河野真幸を破り、キャリアわずか2年と1ヶ月でWRESTLE-1の象徴であるWRESTLE-1チャンピオンシップを初戴冠した。
 
試合中に全く崩れないガチガチに固めた髪や若手プロレスラー感のない濃い髭、そして過激な発言。芦野には若手特有の初々しさは一切ない。むしろふてぶてしいほど。
 
 
 
ここまでで芦野が会社やファンから期待されている若手有望株であることをわかっていただけたと思うが、芦野は他団体の若手有望株プロレスラーたちとは決定的に違う部分がある。それはヒール要素である。
 
例えば、キャリアの浅い若手選手がベルトを手にしたとき、その選手がこれからどの先輩を倒して、どんな防衛ロードを築いていくのか、どんな成長を見せてくれるのかをファンは期待する。
 
しかし、芦野の場合は、ベルト奪取からいきなりWRESTLE-1の3強である河野真幸近藤修司、征矢学の3人を倒したのだ。既にファンの視点は「これから芦野が誰を倒すのか」ではなく、「これから誰が芦野を倒すのか」なのだ。もはや芦野はヒールの立ち位置にいるのだ。
 
芦野の魅力はそれだけではない。
芦野はタイトルマッチで直接勝利したことをきっかけに、同じTriggeRに所属する先輩であり、デビュー当時から指導を受けていた近藤、河野に別れを告げ、TriggeRから自主的に脱退し、今はどのユニットにも属していないのだ。
言い換えれば、現在芦野はWRESTLE-1の先輩レスラー全員を敵に回している状況なのである。
そして、WRESTLE-1内でユニットに所属している選手を「集団に頼るから個人の力が上がらない。僕が揺さぶることでバラバラになれば、彼らも個人で上を目指すようになると思うんですよ。そうなればW-1にとっても絶対にいいことだと思うんで※1」と批評し、WRESTLE-1内の全ユニットの解体を目論んでいるのだ。
そう、芦野の見据える先には自身の今後の防衛ロードよりも今後のWRESTLE‐1のこと。自分を高めること以上にWRESTLE-1を上げていくことに重きを置いているのである。
 
 
ヒール要素が強い芦野ではあるが、芦野は決して、ただのヒールのチャンピオンではない。
 
週刊プロレスのインタビューでは、このようなことを語っている。
 
「イケメンさん(黒潮イケメン二郎)みたいな人がいるからこそ僕が引き立っているというのは感じます。あの人はすごくプロレスができる。みんな僕みたいだったら、誰もWRESTLE-1を見に来ないですよ。『じゃあ総合に行け』みたいな雰囲気が出てくると思います。いまはみんなでWRESTLE-1を上に上にと思ってますから。チャンピオンとしてそれを引っ張りたいですね。※2」 

 

 
このように全体を客観視した上、あくまでWRESTLE-1に良い流れを促すために刺激的な言動をとっているのだ。
悪ぶっているというよりは、根っからがヒールなタイプ。
 
 
また芦野はこのようなことも語っている。
 
「スタッフの人たちも大変だと思うんですよ。(中略)ラクにさせたいですよね。もっと魅力のある会社にして、スタッフも入りたいなと思わせたい※2」
 
 
 
 
今年の3月20日、僕は芦野が初めてベルトを巻く姿を見たくて、後楽園ホールへ行った。
見事、河野からベルトを奪取した芦野は、試合後にマイクを握って、「僕がチャンピオンとして文体(横浜文化体育館大会)を成功させて、WRESTLE-1を両国、(日本)武道館、そして東京ドームへ連れて行きます」と宣言した。
興行終了後すぐ、芦野はグッズ売店へと向かい、会場へ来た観客たちに挨拶をしていた。
控え室へ行き、記者たちに対してベルト初戴冠の喜びを長々と話すわけでもなく、すぐさま会場の出口付近にあるグッズ売店へ向かったのだ。
付け加えると、観客が一人残らず帰るまで売店に立ち続けていた。
やはり芦野、行動が違う。
 

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芦野祥太郎こそが理想のチャンピオン像ではないか。
リング内の充実や社員の仕事、観客のこと、彼はWRESTLE-1のすべてのことを考えている。そして背負っている。
 
 
 
日本にはお茶漬けがある。そしてWRESTLE-1には芦野祥太郎がいる。
WRESTLE-1第一主義の芦野祥太郎はユニット解体などの改革を促し、団体内に発展を求めている。これぞ芦野ナショナリズム
キャリアこそ浅い芦野だが、誰よりもWRESTLE-1について考え、それを誰よりも言動に移している。
まあ「キャリアこそ浅い芦野だが」という言い方は、芦野に言わせればナンセンスなのだろうけど。
 

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「僕は旗揚げ1年後くらいに入門してるんで、最初のエンターテイメント路線を知らない(中略)それ(ファンの中にある『WRESTLE-1=エンタメ路線』というイメージ)を払拭していきたい。本当にみんな絶対、すげぇいいプロレスしてるんですよ。※2
 
クラシカルなレスリング、ふてぶてしい外見、整った顔立ち、誰よりも“言葉”を持っている点など、芦野はどの点を見ても素晴らしい。
芦野は数年後、間違いなくプロレス界の中心にいるプロレスラーだ。
 
3月20日の試合後に宣言したとおり、早くもWRESTLE-1の年間最大のビッグマッチ、9月2日 横浜文化体育館大会のリングにチャンピオンとして上がることになった芦野。
当日は7月12日に後楽園ホールで行われる『WRESTLE-1 GRAND PRIX 2017』の覇者をチャレンジャーとして迎え撃つことになる。
 
芦野が変えるWRESTLE-1。いま、一度その目で2017年の芦野政権とWRESTLE-1を見ていただきたい。
 
いま、芦野祥太郎から目が離せない。
 
 
 
※1...WRESTLE-1公式サイト2017/05/12より
※2…週刊プロレスNo.1898より